避妊相談
避妊相談について
思いがけない妊娠を防ごう
思いがけない避妊を防ぐために、現在日本で使用されている避妊方法は以下のとおりです。 当院では、患者さんお一人お一人に合わせた避妊方法をお勧めしていますので、気軽にご相談ください。
バリア法
コンドーム・女性用コンドーム・避妊用ペッサリーなど、日本ではコンドームのみが幅広く使用。避妊率約85%。性感染症予防には有効。
経口避妊薬(ピル・OC)
黄体ホルモンと卵胞ホルモンを配合した薬で、排卵をおこさないようにする。正しく服用した場合、避妊率約99.7%。
リング・IUD(子宮内避妊器具)
プラスチック製の小さな器具を子宮内に挿入し、受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐ方法。避妊率約97%。
不妊手術
手術で卵管や精管を塞ぐ方法。当院では帝王切開手術の際に、妊娠を希望されない方に、両側卵管結紮術を施術。避妊率約99.5%。
経口避妊薬(ピル・OC)
一般にピルと呼ばれる避妊法で、少量の女性ホルモンと黄体ホルモンを含んだ低用量ピルを毎日1錠ずつ飲むことで、排卵を抑制し最も確実に避妊できます。ただし、一定期間の服用後にピルを飲まない休薬期間があり、その際に少量の出血があります。 正しく服用した場合、99.7%の避妊率ですが、飲み忘れもあるため、現実的には90%前後といえます。 当院では6種類のピル(21錠タイプ1種、28錠タイプ5種)を準備し、患者さんに合わせて処方しています。
初回指導料
1,100円(税込み)(緊緊急避妊薬投与後と人工妊娠中絶術後を除く)
価格(1シートあたり)
2,750円(税込み)から3,300円(税込み)
ピルは正しく服用することで、次のメリットがあります。
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排卵を抑制することで非常に高い避妊効果と安全性に優れています。
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生理が規則正しく、ほぼ28日となり、月経の不規則な方に有効です。
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生理の出血量が減るので、月経過多の方に有効です。
出血量の減少とともに、生理痛が軽くなり痛み止めも不要もしくは減量できます。
月経に伴うホルモンの減退が緩やかになり、月経前の諸症状(月経前緊張症、頭痛など)が軽くなる可能性があります。
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男性ホルモン作用を抑制することで、ニキビを改善する効果があります。
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長期間の服用でも将来の妊娠への影響はありません。
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卵巣がんや子宮体がん、大腸がんなどのリスクが減少します。
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子宮内膜症の進展が抑えられる症例もあります。
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ピルには多くのメリットがある反面、副作用やデメリットもあるので、正しく理解しておきましょう。
人によってはピルを飲み始めると少量の出血が続いたり、生理が長引くこともありますが、3カ月程度で改善されます。また、飲み始めにムカつきや気分の浮き沈みが生じることもありますが、3カ月程度で収まります。
ピルにはいくつかの種類があり、メーカーを変えれば症状が軽減することもあるので、自己判断で服用を中止せず医師に相談してください。
まれなケースとして、女性ホルモンと黄体ホルモンの作用で、むくみや体重増加が生じることもあります。
当院では受診時には、毎回体重、血圧測定を行い、体重増加の少ないピルに変更することも可能です。
副作用としてまれに生じる合併症に血栓症があります。発生率は妊娠中や産後よりはるかに低いです。しかし、服用中に経験したことのない激しい頭痛や胸痛、息苦しさ、腹痛、舌のもつれ、視野の障害、喋りにくい、手足のしびれ、ふくらはぎの痛みなどが起きた場合、直ちに服用を中止し連絡してください。
こうした症状はピルの飲み始め4カ月以内に生じやすいものです。救急処置が必要なケースもあるので、安易にインターネット等で購入するのではなく、産婦人科医療機関で処方を受けてください。当院では、注意事項が書かれた携帯カードもお渡ししています。
ピル服用者携帯カード
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ピルを飲み始めるのは原則として生理の開始日からで、夜間に始まった場合は翌日に一日ずれても問題ありません。それ以降は、決められた通りに休薬期間を挟み飲み続けます。
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ピルは毎日一錠ずつ飲みます。決められた時間に必ず飲む必要はありませんが、時間を決めて習慣づけておきましょう。朝飲み忘れても、その日のうちに一錠飲めば良いので神経質になる必要はありません。
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低用量ピルは、女性ホルモンの量が少ないため、まれに生理の来ない場合もあります。2カ月間、生理がない場合は受診してください。
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ピルで性感染症を防ぐことはできません。感染予防のためにはコンドームの使用が有効です。
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長期間のピルの服用により子宮頸がんのリスクが少し増加するというデータがあります。そのため当院では年に一度の子宮がん検診をお勧めします。
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ピルはホルモン剤なので、肝臓で代謝されます。年に一度の肝臓機能チェック(採血検査)も有効です。
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ピルを飲み忘れた場合は飲み忘れた分をなるべく早く飲み、その後に当日飲む分や次の日の分は予定通りに飲みます。2錠以上飲み忘れた場合、忘れた日の分をなるべく早く飲み、残りの分は決められた通り飲みます。その後一週間はコンドームなどを使い確実に避妊してください。
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長時間の外科手術の場合や、ほかの薬剤と併用する際に飲みあわせの問題が生じる場合があります。他の診療科を受診する際は、ピルの服用を申告するか、ピルをお渡しした際のカードを提示してください。
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生理が始まれば、ピルの服用は可能ですが、骨の成長に影響があるため、18歳以下の若年者は身長の伸びが止まってからにするとよいでしょう。
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35歳以上で1日15本以上のタバコを吸う人は、ピルを飲むと心筋梗塞になる確率が吸わない人に比べ20.8倍となるデータがありピルは服用できません。それ以下の本数でも血栓症のリスクが高くなるため、ピルを飲む場合、禁煙を心がけましょう。当院では禁煙治療もピルの処方とともに実施しています。
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リング・IUD(子宮内避妊器具)
子宮内に小さなプラスチックの避妊器具を入れることで、避妊を行います。避妊効果は高く、正しく入っていれば、97〜99.8%の避妊効果があります。子宮内にIUDを入れることで受精卵の着床を阻害すると考えられていますが、十分な解明はなされていません。 当院ではFD-1とミレーナ52mg(黄体ホルモンを付加したリング)を扱っています。
FD-1
ミレーナ52mg
FD-1挿入(3年で交換)
22,000円(税込み)
FD-1抜去
8,800円(税込み)
FD-1交換(抜去と挿入を同時に行う場合)
27,500円(税込み)
ミレーナ52mg挿入(5年で交換)
49,500円(税込み)※
※健康保険適応になる場合もあり
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一度装着すれば、3〜5年避妊効果が持続します。
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毎日ピルを飲む煩わしさがなく、飲み忘れを気にする必要もありません。
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年間にかかる費用はピルよりも安価です。
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ミレーナ52㎎は黄体ホルモンの作用により子宮内膜が薄くなり、生理痛を軽減する作用があります。月経困難症や過多月経の方には、保険適応となるケースもあります。
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器具の挿入による体重への影響はなく、喫煙とも関係ありません。
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性行為への影響はありません。
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100%の避妊効果があるわけではありません。
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産婦人科医療機関で母体保護法指定医師が挿入する必要があります。
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挿入後数日間、少量の出血、腹痛が生じることがあります。
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卵巣機能には影響がなく、卵巣から排卵が生じるため、月経不順や月経前の症状改善にはなりません。
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子宮内腔の形状異常や子宮粘膜下筋腫では、器具がずれることがあり、避妊効果が低下します。
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ミレーナ52㎎では月経異常などの子宮出血が78.6%認められ、少量の出血が長期間持続することもあります。
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性感染症とは無関係です。感染予防のためにはコンドームの使用が有効です。
子宮内避妊器具は妊娠していない時期に子宮内に挿入します。当院では、子宮に大きな病気のない経膣分娩を経験された方への挿入を原則としています。希望される方は月経終了後、直ちに受診して下さい。膣の中に感染症があると、子宮内感染を生じる可能性があるため、おりものの多い方は検査、治療の後に挿入となります。施術は外来にて、5分程度です。
生理の際の子宮筋の収縮により、子宮内腔のサイズによっては器具がずれることがあり、その結果、器具が影響しない子宮内膜に受精卵が着床することがあります。したがって、器具の装着後、1回目の生理後に確認のために受診してください。その後、1年目まで3カ月ごと、以降は年1回の定期検診をお勧めします。
FD-1は3年毎、ミレーナ52㎎は5年毎に交換をしてください。
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不妊手術
両方の卵管を手術で閉塞、結紮、切断することで避妊を行います。当院では帝王切開手術の際に、以後の妊娠を希望されない場合にのみ、卵管を縛る両側卵管結紮術(内田法)を行います。この方法は卵管を一部切除し、断端を腹腔内と腹膜下(腹腔外)に分けて処置するもので、通常の単なる卵管結紮術に比べ避妊効果は高く(約99.5%)なります。 この手術には、事前に夫婦の同意書が必要となります。再度妊娠を希望されても卵管の再建は困難なため、体外受精等が必要となるので慎重に判断してください。